フランス文学の代名詞と言っても良い作品、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」。
小説を読んでから映画も観ました。
映画の印象が強かったので、映画版をレビューしたいと思います。
小説版はこちら
あらすじ(ネタバレあり)
17歳の少女セシルは、男やもめで資産家の父レイモンと気ままに二人で暮らしていました。
色男のレイモンは次々と愛人を作りますが、セシルはそんな父を受け入れていて、愛人とも仲良くなります。
ある夏に、セシルとレイモンと、父の愛人エルザは、南仏コートダジュールでバカンスを楽しみます。
そこへセシルの亡き母の友人、アンヌが加わります。
アンヌは最初、レイモンの若き愛人エルザの存在にショックを受けますが、大人の対応で受け入れます。
4人でバカンスを楽しむうちに、レイモンはアンヌが持つ大人の女性の魅力に惹かれていき、エルザから心移りして、やがてレイモンとアンヌは男女の仲に。そして結婚を約束します。
しかしアンヌはセシルに対して、母親気取りでコントロールしようとします。
反発したセシルは、荷物を取りに偶然戻ってきたエルザとあることを企みます。
若さゆえの残酷さから企んだ計画は無事に成功しますが、それが取り返しのつかない事態を招くことになってしまいました。
感想
1958年公開のこの映画、舞台はフランスですが、アメリカとイギリスの合作映画なので、英語で演じられています。
最初のパリのシーンではモノクロだったので「モノクロ映画かな?」と思ったら、南仏の回想シーンでは色鮮やかなカラーの風景が広がっていました。
南仏での色鮮やかなカラーの景色と、パリでのモノクロ風景は、主人公セシルの心情が描写されていると思われます。
ジーン・セバーグの演じる主人公セシルのベリーショートヘアは「セシルカット」として流行にもなりました。
ファッションやインテリアもお洒落で、今見ても古さを感じさせません。
途中、群衆が密になって狂喜乱舞するダンスパーティーシーンは、コロナ禍の今観ると、「こんな楽しい時代もあったんだな」と、涙が出そうになります。このシーンはスマホに録画して、元気になりたい時に何度か見返しています。
音楽も魅力的ですが、曲名を調べても出てこず・・・古い映画だから仕方がないですね。
追記:サウンドトラックがありました。 → Apple Music Spotify
ダンスパーティーシーンに使われている4曲目のCave a Saint Germain des Prés が大好きです。
原作者のフランソワーズ・サガンと、主人公のジーン・セバーグはほぼ同年代ですが、二人とも波瀾万丈かつ破滅的な人生を送っています。
小説版の「悲しみよこんにちは」がリリースされたのは、サガンが18歳の時。
ストーリーがシンプルなだけに、彼女のみずみずしい感性が光る作品です。
フランス映画を観るならまずこの作品、と思う大好きな映画です。