モーパッサンの代表作「女の一生」を読んでから映画版も観たくなったのでGYAO!の配信でレンタルしてみました。
小説との違いや見どころ、感想などをレポートしていこうと思います。
小説版の記事はこちら
あらすじ(ネタバレあり)
貴族の娘17歳のジャンヌは、司祭の紹介でラマール侯爵の子息ジュリヤンと出会い、ジュリヤンがジャンヌの家に婿養子に入る形で結婚します。
期待に胸を膨らませたジャンヌの新婚生活は、薪の無駄遣いも許さない厳しい倹約家のジュリヤンによって徐々に理想とはかけ離れたものになっていきます。
それでもジャンヌはジュリヤンを愛していましたが、ジュリヤンの重なる不貞によって裏切られ、絶望します。
司祭と母アデライトの助言によってジャンヌはジュリヤンを許しますが、母アデライトの死後、母も不貞を働いていた事実を知ってしまいます。
家族ぐるみで仲良くしていたフールヴィル伯爵夫人ジルベルトにもジュリヤンは手を出しますが、それがフールヴィル伯爵の知る事実となり、残酷な結末を迎えます。
夫と母を失ったジャンヌは、父と共に一人息子のポールを育てます。
甘やかして育てたポールはジャンヌのもとを離れ、一人の女性と暮らし始めますが、ジャンヌに何度も金を無心する手紙を送ります。
そのたびにジャンヌはポールに大金を送り続け、結果、父の死後、生まれ育った家も売らなければならなくなりました。
夫と両親を亡くし、息子にも裏切られ続けるジャンヌに救いの手を差し伸べたのが、かつて共に過ごした女中で乳姉妹のロザリです。
何不自由なく過ごした少女時代と比べて無惨な生活を送っているジャンヌを不憫に思ったロザリは、孤独なジャンヌの生活を、一筋の希望へと導きます。
感想
19世紀フランスが舞台なのにあまり映像から古さを感じなかったのは、2016年にリリースされた映画だからなのですね。
まず最初に思ったのが、ジュリヤン役の俳優さんがイメージにぴったりすぎ、ハマりすぎ!ということです。
ジュリヤンらしいサイコパス顔(失礼)で、ジュリヤンの息子ポール役の俳優さんも、ジュリヤン役の方とよく似ていました。
イメージと違ったのはフールヴィル伯爵夫妻です。
原作のイメージではジルベルト夫人は金髪で華奢なイメージでしたが、映画版は黒髪でがっしりとした雰囲気の女性でした。フールヴィル伯爵も原作の巨人のようなイメージとは少し違いました。
当たり前ですが映画版は原作のストーリーからいろいろと端折られていて、映像化しにくい部分(乗馬シーンやフールヴィル伯爵夫人とジュリヤンが伯爵に殺される場面など)は、原作と少しストーリーが変えられていました。
原作の方が、それぞれの場面の背景となる出来事が細かく描写されているので、原作を読んでから映画を観た方が、映画版を楽しめるのではないかと感じました。
「女の一生」を描いていますが、ジャンヌもロザリも、最後まで原作ほどは老けなかったので、そこはやはり映画版の限界なのかもしれません。
しかしながらフランス映画らしく洗練されていて、なおかつ全体的にセリフもシンプルで分かりやすいので、フランス語の勉強になる映画だと思います。
原作の小説では、言葉による美しい情景描写を楽しむことができ、映画版では俳優さんたちの美しさを楽しむことができます。
GYAO!でレンタル配信されていますので、よろしければ小説と併せてご覧になってみてください。