【名言24選】アルケミスト 夢を旅した少年 あらすじと考察 夢を実現するヒントに溢れた名作!

ブラジルの小説家パウロ・コエーリョにより1988年に発表された作品です。ブラジルでも人気が出ましたが、アメリカで出版されてからブームになり、67カ国語に翻訳されて世界的なベストセラーになりました。

ピラミッドの宝物を求めて砂漠を旅する羊飼いの少年が、宝物を見つけるまでの過程で夢を実現させていくまでの学びを得るストーリーです。

少年はヨーロッパ・スペインのアンダルシア地方からジブラルタル海峡を渡り、アフリカ大陸のモロッコ・タンジェから砂漠を横断してエジプトのピラミッドまで旅します。

少年と一緒にスペインからアフリカ大陸を旅する気分も楽しめるかもしれません。

著者パウロ・コエーリョのプロフィール

パウロ・コエーリョ

1947年、ブラジルのリオデジャネイロに生まれる。法律学校に入学後、1970年に中退して、メキシコ、ペルー、ボリビア、チリや、ヨーロッパ、北アフリカなど、世界各地へ放浪の旅に出る。

3年間の世界旅行を経てブラジルに戻り、流行曲の作詞家となり、ブラジルの人気歌手の大ヒット曲も手がける。

1974年、反政府運動の疑いをかけられて投獄される。出所後はレコード制作の仕事に携わるものの、5年後、急に全てを投げ捨てて、再び世界をめぐる旅に出る。その旅での様々な出会いと経験を通じて、作家として歩んでいくための礎を築く。

1987年に彼のスペインの巡礼での経験を書いた「星の巡礼」で作家デビュー。次作の「アルケミスト」が大ヒットし、「星の王子さま」に並ぶほど称賛される世界的ベストセラーとなる。

「アルケミスト 夢を旅した少年」の登場人物

・サンチャゴ
主人公の少年。羊飼い。16歳まで神学校でラテン語とスペイン語と神学を学ぶ。ある日、父親に「自分は神父にはなりたくない。世界を旅したい」と告げる。

・ジプシーの老女
タリファの街で少年の夢を解釈し、少年に「もしおまえが宝物を見つけたら、その十分の一をわしにおくれ」と伝える。

・老人
セイラムの王様。少年に、すべては一つであることや、前兆について教え、ウリムとトムミムという石を授ける。

・クリスタル商人
少年を雇う。メッカへの巡礼を夢見ているが、その夢が実現してしまうと生きる理由がなくなるため、クリスタルの商人として同じような毎日を繰り返している。

・イギリス人
クリスタルの問屋の一人、キャラバンで砂漠を越えてクリスタルを輸送している。宇宙に一つしかない本当のことばを見つけるため、十年間も大学で勉強し、父親が残してくれた遺産のあらかたを使ってしまった。宇宙の言葉を知る錬金術師を探すため、少年と一緒にキャラバンに乗ってピラミッドを目指す。

・ファティマ
砂漠で出会い、少年が恋に落ちた女。「砂漠の女は男が帰ってこないことに慣れていて、いつか自分の夫も帰ってくるかもしれないと思い、幸せになります」と少年に告げる。砂漠の女であることを誇りに思っている。

・錬金術師(アルケミスト)
馬にまたがり、左肩に一羽のはやぶさが止まっている、黒ずくめの服を着た男。ターバンを巻き、顔全体を黒い布でおおって、目だけを出している。剣を少年のひたいに押し当て、少年に「おまえの勇気をためさなくてはならなかったのだ」と告げて少年を導く。

「アルケミスト 夢を旅した少年」のあらすじ(ネタバレあり)

スペイン・アンダルシアの平原で暮らし、16歳まで神学校に通っていた羊飼いのサンチャゴ少年は、いちじくの木が生えた古い教会で、一週間前に見た夢と同じ夢を度見ました。

夢に出てきた子供は少年に「あなたがここに来れば、隠された宝物を発見できるよ」と告げます。

その子が正確な場所を少年に教えようとした時、二度とも少年は目を覚ましてしまいました。

少年はその夢を老女に解釈してもらいます。

夢を解釈した老女は少年に「 お前はエジプトのピラミッドへ行かなければならない」と告げます。

しかし老女はエジプトへの行き方は教えてくれませんでした。

がっかりした少年は夢をあきらめ、広場で本を読みます。

すると一人の老人が話しかけてきました。

「セイラムの王様」を名乗るその老人は、少年に前兆の話をして、ウリムとトムミムという、黒い石と白い石を渡します。黒は「はい」を意味して、白は「いいえ」を意味します。

少年は老人の教えに従い、海峡を渡ってアフリカ大陸のタンジェに入ります。そこでガイドになると名乗り出た若い男に少年は騙され、全財産を奪い去られてしまいます。

全てを失った少年は、クリスタルを売る商人に雇ってもらい、商人の店で働き始めます。1年近く働いた後、錬金術師を探すクリスタル問屋のイギリス人とともに、200人近い人と400頭近い動物のキャラバンに入って砂漠を渡ります。

砂漠を渡る途中、少年はファティマという女性と恋に落ちます。

愛を知った少年は、宝を探すことよりもファティマと一緒に過ごしたいと思うようになります。

しかしファティマは所有を伴わない愛を信じており、少年は前兆に従って旅を続けます。

そんな中、少年は軍隊がオアシスに攻め入る戦争のヴィジョンを見ます。

それをオアシスの長老に少年が告げると、長老は少年に「明日もしも本当に敵が攻めてきたら、敵が10名死ぬごとにお前に金を一つ与えよう。しかし武器が一つも使われなかったら、その武器はお前に対して使う」と言います。

明日殺されるかもしれないと知った少年は気が動転します。その時に少年は錬金術師と出会います。

次の日、約2000名の軍隊がオアシスに攻め込みます。少年の忠告に従って準備していたオアシスの男たちは、攻め込んできた軍隊を一人残らず殺害し、長老は少年に金50個を与えました。

少年は錬金術師とともに馬にまたがりピラミッドを目指します。

ピラミッドが近づく頃、少年と錬金術師はターバンのまわりに黒い輪をかぶった100人余りの部族によって、軍隊の野営地に連れて行かれます。

錬金術師は部族の男たちに「自分たちは風の力でこの野営地を破壊することもできます。もしそれができなければ命を差し上げます」と伝え、三日間の猶予をもらいます。

少年は恐ろしくなって震えましたが、三日目にして少年は自然と対話し、野営地がほとんど見えなくなるほどの風を巻き起こすことに成功しました。

ピラミッドまであと3時間のところで少年は錬金術師と別れ、一人で馬に乗って砂漠を渡り始めます。

ピラミッドにたどり着いた少年は、自分が選んだ場所を一晩中、掘ってみましたが、何も見つけられませんでした。

それでも前兆に従って穴を掘り続けていルウ地に、少年は、アラブ人の男たちによって殴られ、血を出し、服はぼろぼろに引きちぎられてしまいます。

しかしリーダー格の男は少年に宝物のありかを伝えました。それは、少年がかつて羊の群れを連れて眠ったアンダルシアの古い教会にあるいちじくの木の根元でした。

本文中に出てくる名言・格言

夢を実現させるための言葉

おまえが誰であろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ。それが地球におけるおまえの使命なのだ。

おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ。

おまえは常に、自分が何を欲しているか知らなくてはならない。

人は、自分の必要と希望を満たす能力さえあれば、未知を恐れることはない、ということです。  私たちは持っているもの、それが命であれ、所有物であれ、土地であれ、それを失うことを恐れています。しかし、自分の人生の物語と世界の歴史が、同じ者の手によって書かれていると知った時、そんな恐れは消えてしまうのだ。

君が何かを全身全霊で欲した時、君はその「大いなる魂」と最も近い場所にいる。それはいつも、前向きな力として働くのだ。

人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ。

お前の心があるところに、お前の宝物が見つかる、ということを憶えておくがよい。そこにたどり着くまでに学んだすべてのことが意味を持つために、おまえは宝物を見つけなければならないのだ。

「前兆」についての言葉

どうやって未来を推測するのかだって? それは現在現われている前兆をもとに見るのだ。

もしおまえが、現在によく注意していれば、おまえは現在をもっと良くすることができる。そして、おまえが現在を良くしさえすれば、将来起こってくることも良くなるのだ。未来のことなど忘れてしまいなさい。そして、神様は神の子を愛していると信頼して、毎日を神様の教えにそって生きるがよい。毎日の中に永遠があるのだ。

宝物を見つけるためには、前兆に従って行かなくてはならない。神様は誰にでも行く道を用意していて下さるものだ。神様がおまえのために残してくれた前兆を、読んでゆくだけでいいのだ。

夢の実現を阻むものについての言葉

結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ。

もし、自分の運命を生きてさえいれば、知る必要のあるすべてのことを、人は知っている。しかし夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ。

もしわしの夢が実現してしまったら、これから生きてゆく理由が、なくなってしまうのではないかとこわいんだよ。実現したら、それが自分をがっかりさせるんじゃないかと心配なんだ。だから、わしは夢を見ている方が好きなのさ。(クリスタル商人の言葉)

そしておまえが来る前よりも、わしはだんだんと不幸になってゆくような気がする。なぜなら、自分はもっとできるとわかっているのに、わしにはそれをやる気がないからだ。(クリスタル商人の言葉)

人は、自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。永遠に去ってゆく恋人や、楽しいはずだったのにそうならなかった時のことや、見つかったかもしれないのに永久に砂に埋もれた宝物のことなどを考えただけで、人の心はこわくてたまりません。なぜなら、こうしたことが本当に起こると、非常に傷つくからです。

初心者のツキとその後の試練についての言葉

それは好運の原則と呼ばれているものだよ。誰でも初めてカードをする時は、ほとんど確実に勝つものだ。初心者のつきだ。おまえの運命を実現させようという力が働くからだ。成功の美味で、おまえの食欲を刺激する。

すべての探求は初心者のつきで始まる。そして、すべての探求は、勝者が厳しくテストされることによって終るのだ。

夜明けの直前に、最も暗い時間がくる。

夢が実現する前に、大いなる魂はおまえが途中で学んだすべてのことをテストする。それは悪意からではなく、夢の実現に加えて、夢に向かう途中で学んだレッスンを、おまえが自分のものにできるようにするためだ。

愛についての言葉

人は愛されるから愛されるのです。愛に理由は必要ありません。

愛されている時、あなたは何でも創り出すことができます。愛されている時、あなたは何が起きているか、理解する必要はありません。すべてはあなたの中で起きているからです。

愛とは、大いなる魂を変え、より良いものにする力なのです。

なぜなら、私たちは愛する時、もっと良くなろうと必ず努力するからです。

私たちはそれを知っていて、それに慣れています。帰らない人は雲の一部になり、谷間にかくれて住む動物の一部になり、地面から 湧き出る水の一部になります。彼らはあらゆるものの一部になります……彼らは大いなる魂になるのです。  帰ってくる人たちもいます。すると他の女たちは、いつか自分の夫も、戻ってくるかもしれないと思って、幸せになります。私はそうした女たちを見て、彼女らの幸せをうらやましく思ったものでした。今、私もそうした待つ女の一人になります。(ファティマの言葉)

「アルケミスト 夢を旅した少年」の感想と解釈・考察

3回読んでやっと意味が分かりました。そしてとても勇気づけられました。

少年が夢に見た「宝物」を見つけ出すまでに、数々の出会いがあり、少女ファティマとの出会いで愛を知り、試練にも立ち向かいます。

そしてようやく、宝物のありかである美しいピラミッドを前に、少年はひざまずき、声を上げて泣きます。

そこで最大の試練が訪れます。少年はアラブ人の難民の男たちに殴り殺されそうになります。

しかしそのリーダー格の男は少年に宝物のありかを告げます。

それは、少年が宝物の夢を見た場所、スペインの古い教科にあるいちじくの木の根元でした。

まるで「青い鳥」のようなこの物語。「そういうオチだったのか!」と、最後にやっと気づきました。

では最初から少年は海を渡ってアフリカの砂漠を横断しなくても良かったのではないか?と思われるかもしれません。

しかし砂漠を旅しなければ、少年は美しいピラミッドを見ることはできませんでした。

さらに、少年は砂漠でファティマという少女に出会い、恋に落ちます。

ファティマは少年に「砂漠の女は男を待つことに幸せを感じるの」と、所有を伴わない愛を伝えます。

少年は長い旅を通じて、それまで知り得なかった愛を知ります。

宝物を見つけた少年は、再び砂漠のファティマのもとへ向かうでしょう。

そしてファティマを探して、また数々の試練を乗り越えると予想されます。

アルケミストを通じて、夢を叶えるには以下のことが大切だと学びました。

  • 自分の心を信じる
  • 「前兆」に従い進んでいく
  • 夢が叶う直前には最大の試練が訪れると心得る
  • 夢を叶えるまで決して諦めてはいけない

 

情報が氾濫する今の時代、自分のやりたいことが分からない人は多いと思います。

そんな中で大きな夢を実現させるヒントをこの物語から得ることができました。

「何があっても決して諦めてはいけない」と勇気づけられるので、解決したい問題がある時にも役立つストーリーだと思います。

全てを失っても何度も立ち上がるサンチャゴ少年の強さは、著者パウロ・コエーリョの人生にも重なります。

叶えたい大きな夢のある方、一度きりの人生を後悔したくない方には、ぜひ読んでいただきたい作品です。

 

Ayacoライター
アラフォー独身おひとり様女。10代の時、世界文学を読み漁るうちに、日本の学校教育で教わる生き方との矛盾を感じる。進路に悩み、高校の普通科を1年で中退。 通信制高校に編入し、同時に大検(現在の高卒認定資格)を取得して美大へ入学。在学中にフリーランスのグラフィックデザイナーとして起業。その後、Web制作会社でディレクターとして勤務後、大手広告会社のライターを経て2度目の起業。 30代半ばに、美大へ進学するきっかけとなった、印象派時代のフランスの画家達が過ごした聖地を旅する。 地方在住のアラフォーになり、コロナ禍をきっかけに、学生時代からの夢であった、知的探究心の向くままに世界の文学に触れる日々を過ごしている。 オフィシャルサイトはこちら
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Ayacoライター
アラフォー独身おひとり様女。10代の時、世界文学を読み漁るうちに、日本の学校教育で教わる生き方との矛盾を感じる。進路に悩み、高校の普通科を1年で中退。 通信制高校に編入し、同時に大検(現在の高卒認定資格)を取得して美大へ入学。在学中にフリーランスのグラフィックデザイナーとして起業。その後、Web制作会社でディレクターとして勤務後、大手広告会社のライターを経て2度目の起業。 30代半ばに、美大へ進学するきっかけとなった、印象派時代のフランスの画家達が過ごした聖地を旅する。 地方在住のアラフォーになり、コロナ禍をきっかけに、学生時代からの夢であった、知的探究心の向くままに世界の文学に触れる日々を過ごしている。 オフィシャルサイトはこちら